認知症は保険適用される?治療費・介護費用・支援制度を徹底解説!

認知症は保険適用されるのかを考えている

認知症は保険適用される?

認知症になると、検査や治療の他、進行すると介護が必要になります。
さまざまなトラブルが起きることも多く、損害賠償が発生する可能性もあります。

さまざまな費用負担が生じるため、経済的な備えが重要です。
治療費や介護費用にどのような保険が適用されるか、利用可能な公的支援はあるか、これらを詳しく解説します。

この記事の内容をまとめると

  • 認知症の診断に必要なさまざまな検査費および治療費は公的医療保険の適用で、介護サービスは公的介護保険の適用になります。
  • 認知症の治療に要した医療費は、自己負担限度額を超えた際に高額療養費制度を利用すると、超えた分が払い戻されます。
  • 公的介護保険制度を活用して介護サービスを受け、利用者負担額(1~3割)が一定の上限を超えた場合に申請すると、高額介護サービス費の給付を受けられます。
  • 認知症保険は公的支援では補いきれない医療費や介護費用の負担を軽減します。
  • 民間の認知症保険に加入し、公的支援制度を最大限に活用すると、家族の経済的および心理的負担の軽減につながります。
目次

認知症保険と公的支援:最適な選択肢

本人と家族にとって最適な選択肢を考えるには、以下の2つのポイントを押さえる必要があります。

1. 公的支援がカバーできる範囲を把握する

公的介護保険制度を利用すると、訪問介護・デイサービス・施設入所などの支援が受けられます。
利用上限額が定められており、それを超えた場合は全額自己負担になります。
住宅改修や福祉用具の購入・レンタルの支援もありますが、こちらも上限額が決まっています。

2. 本人と家族のライフスタイルに合った選択をする

在宅と施設のどちらが合っているかは、経済的状況・本人の価値観・家族の状況など、人によって異なります。
在宅介護の場合は、本人が落ち着いて生活でき、家族の負担も減らすことを支援する介護サービス(訪問および通所系など)の利用が重要です。
施設入所の場合は、在宅よりも介護費用が高くなるため、長期間の費用を補填できる認知症保険の商品がおすすめです。

認知症保険とは?診断後の保障を解説

認知症保険の定義と特徴を知る

認知症保険とは、認知症と診断された場合に保険金や給付金を受け取ることができる保険です。
主な保障内容について解説します。

  • 診断一時金:認知症(または軽度認知障害:MCI)と診断された場合に、一時金が支払われます(金額は商品によって異なります)。
  • 介護給付金:認知症が進行し、一定以上の介護状態になった場合に、給付金が支払われます。月々や年単位で、継続的に支払われる保険商品もあります。
  • 保険料の免除:認知症と診断された場合に、その後の保険料が免除されます。

認知症になる前に加入するのが一般的ですが、一部の保険では診断後の加入が可能なものもあります。ただし、保障内容に制限がある場合が多いため、慎重に比較検討することが大切です。

認知症の方が起こしたトラブル発生時への対応をしてくれる商品や認知症予防プログラムが付帯した商品もあります。
各保険会社によって、保険料や保障内容が異なるため、複数の保険会社で比較しましょう。

診断後に給付金を受け取る流れ

認知症と診断された後に、認知症保険の給付金を受け取る一般的な流れは、以下の通りです。

「保険会社へ連絡(被保険者あるいは代理人)→必要書類の提出(診断書、保険証券のコピー、本人確認書類など)→審査(契約内容や支払い条件を確認)→給付金の支払い(承認された場合)」となります。

被保険者が認知症により意思表示が困難な場合は、あらかじめ指定した代理人(指定代理請求人)が給付金の請求を行える制度を設けている保険会社もあります。
具体的な手続きや必要書類は、保険会社や商品によって異なる場合があるので、詳細は保険会社に確認することをお勧めします。

介護保険と保障内容の違い

認知症保険の保障は、認知症の診断時や介護が必要な状態になった時に、保険金・給付金が支払われます。
一方、介護保険は国が実施する公的介護保険と、生命保険会社が取り扱う民間介護保険の2種類があります。

それぞれの保障内容の違いについて、以下に詳しく解説します。

公的介護保険

保障内容は、介護サービスの利用時に自己負担額を軽減するというものです。

40歳以上の方(第2号被保険者)が介護保険料を負担し、原則65歳以上の方(第1号被保険者)が要介護(あるいは支援)認定を受けた時に、介護サービスを受けることができます。
40~64歳でも、脳血管疾患などの特定疾病の場合は、利用が可能です。

サービスの利用上限額は認定区分によって決まっており(表1)、自己負担額は収入に応じて1~3割になります。
介護サービスには、デイサービスなどの通所系サービス、訪問看護・リハビリなどの訪問系サービスの他、福祉用具のレンタルや住宅改修の支援などが利用できます。

表1.居宅サービスの1か月あたりの利用限度額(出典:厚生労働省「介護保険の解説」)

民間介護保険

保障内容は、保険会社が定める介護が必要な状態になった時に、保険金・給付金が支払われます。

保険金は一括で支払われる商品と年金形式で継続的に支払われる商品があります。
商品によっては、一時金と年金形式の両方を受け取れるものもあります。

終身・定期型の契約期間は?

認知症保険にも、保障の契約期間によって終身型と定期型の2種類があります。
それぞれについて、保険金と保険料の違いも含めて解説します。

終身型保険(貯蓄型)

  • 保障期間:途中で解約や失効がない限り、契約者が亡くなるまで(一生涯)継続します。
  • 保険金:認知症の診断を受けた場合や、介護状態になった時に保険金・給付金が支払われます。商品によっては、死亡時の死亡保険金が支払われるものもあります。満期保険金はありませんが、解約時に解約返戻金が支払われる商品もあります。
  • 保険料:一般的に定期型保険よりも高めですが、加入時からずっと固定です。

定期型保険(掛け捨て型)

  • 保障期間:一定の期間が決まっており、年満了(年数で設定)と歳満了(年齢で設定)があります。この期間を過ぎると、保障は終了です。
  • 保険金:一定の期間内に認知症の診断を受けた場合や、介護状態になった時の給付が主目的で、死亡保険金はない場合が多いです。
  • 保険料:一般的に、終身型保険よりも割安で、特に若いうちは負担が軽いです。

加入可能な年齢と必要な条件

認知症保険への加入が可能な年齢や必要な条件は、保険商品によって異なります。
以下に、一般的な情報について解説します。

【加入可能な年齢】 
40~70歳までと設定されている商品が多いです。一部の商品では、85歳まで加入可能な商品もあります。

『必要な条件』
加入時には、現在の健康状態や既往歴について告知する必要があります。
告知内容に虚偽があった場合は、契約が解除され、保険金が支払われない可能性があるので、注意しましょう。
多くは認知症と診断されていないことが条件になりますが、認知症になっていても加入できる商品もあります。

認知症の治療費・介護費用は?

認知症の治療費・介護費用相場

認知症の治療費は、入院の場合で月額平均7~30万円、通院の場合で月額平均4万円が目安となります。
ただし、公的医療保険の自己負担割合(1~3割)によっても異なります。
介護費用は、在宅では平均4.8万円、施設では平均12.2万円となっており(図1)、全体平均は8.3万円です(図2)。

図1.介護に要した費用(出典:生命保険文化センター「介護費用に関する全国実態調査/2021年度」)

図2.介護に要した費用(出典:生命保険文化センター「介護費用に関する全国実態調査/2021年度」)

介護費用は、要介護度が上がるにつれて増加する傾向にあり、最も高額なのは要介護5の10.6万円となっています(図3)。

図3.介護に要した費用(出典:生命保険文化センター「介護費用に関する全国実態調査/2021年度」)

さらに、継続してかかる介護費用以外に、在宅介護の準備として、住宅改修や介護ベッドの購入などの一時的な費用がかかります。
一次的な費用の合計は、平均74万円となっています。

図4.介護に要した費用(出典:生命保険文化センター「介護費用に関する全国実態調査/2021年度」)

入院・在宅介護の負担と支援

認知症で入院する場合と在宅介護の場合では、家族にかかる負担の内容は異なります。
負担を軽減するために利用できる公的支援も含め、詳しく解説します。

認知症で入院する場合

入院が必要になるケースは、せん妄(意識の混乱状態)や暴力行動などの症状が急激に悪化した場合、肺炎や骨折などの合併症を治療する場合、家族の介護が困難になった場合などです。

入院における家族の負担は、主に経済的な負担です。
医療費の支援には、以下のようなものがあります。

自立支援医療、高額療養費制度、限度額適用認定証の利用などです。
これらの詳細については、後ほど詳しく解説します。

【在宅介護の場合】
経済的な負担の他にも、介護する方の身体的・心理的な負担が挙げられます。
認知症者の介護は主に、家族が担うケースが多いです。
認知症になった家族に関する悩みを他人に話すのは勇気がいることが多く、支援者が抱え込んでしまうことも少なくありません。

公的介護保険の介護サービスを利用し、認知症に関する専門的知識を持つ人(医師・介護サービス担当者・介護支援専門員など)に相談することも心理的な負担の軽減につながります。
介護者のストレスは認知症者にも伝わり、認知症状の悪化につながると言われています。
お互いに安心して暮らせるよう、無理のない介護環境を整えましょう。

認知症の検査費用・治療費とは

認知症の治療費は、診察代・薬代・検査費などの費用が挙げられます。
以下に、各治療費の月額費用の目安(3割負担の場合)を示します。

  • 初診(精神科・脳神経内科):約5000~10,000円
  • 定期診察(1回):約1,500~3,000円
  • 薬代(認知症治療薬):約3,000~10,000円
  • 脳MRI・CT検査など:約5,000~10,000円
  • 軽度認知障害(MCI)スクリーニング検査:約20,000~30,000円(保険適用外)

入院費・保証金:交通費の内訳

入院した際にかかる主な費用の内容について説明します。

  • 検査費:上述した脳の検査以外にも、心理検査や各種検査を受けた場合、随時検査費用が請求されます。
  • 治療費:入院費用の中で最も大きな割合を占めます。病院によって1日当たりの基本料が定められており、その金額に入院日数を掛けて算出されます。公的医療保険の適用なので、自己負担割合に応じた金額が請求されます。
  • 入院保証金:病院によっては、入院時に入院保証金を預けることがあります。入院費用の支払いに充てられ、費用が発生しなければ返金されます。
  • 差額ベッド代:大部屋ではなく、1~2部屋などの病室を希望した場合に発生する費用です。差額ベッド代は公的医療保険の適用外のため、全額自己負担になります。病院によって設定金額が異なるため、希望がある場合は確認してみましょう。
  • 食事代:全国一律で1食あたり460円と定められています。原則、公的医療保険の適用外ですが、住民税非課税世帯の方などは、減額あるいは無料になることがあります。
  • 日用品代:衣類のクリーニング、冷蔵庫・テレビの使用料、おむつ・歯ブラシ・シャンプーなどの消耗品の費用などはすべて自己負担となります。病院によって日用品代は異なるので、事前に確認しましょう。
  • 面会時の交通費:家族が面会に訪れる際の交通費は、公的医療保険の適用外で、すべて自己負担になります。長期的な入院になる時は、家族にとっても無理のない範囲で面会できるように、事前に見積もっておくと安心です。

高額療養費・医療費控除の活用

高額な医療費負担を軽減する公的支援について、以下に解説します。

自立支援医療(精神通院医療)

認知症で精神科の医療機関に通院した場合、自己負担額が軽減されます。
適用を受けると、医療費などの自己負担は基本的に1割です。さらに、収入による自己負担額の上限が設けられています。
ただし、指定登録された医療機関に限られます。

高額療養費制度

1か月(月初め~月末まで)に負担する医療費の合計金額が、自己負担限度額を超える場合に利用でき、自己負担限度額を超えた分の金額が払い戻されます。

限度額適用認定証・マイナ受付

お金をいったん立て替えることが難しい方にとっては、高額療養費制度は使いづらい側面があります。
限度額適用認定証を発行すると、一定の限度額を超えた分を立て替える必要がなくなります。
さらに、マイナ受付の制度を利用すると、限度額適用認定証の提示も不要になります。

介護費用を軽減する公的補助

高額な介護費用負担を軽減する公的な補助について、以下に解説します。

【高額介護サービス費制度】
介護サービス費の自己負担額が一定額を超えた場合に、払い戻しを受けられます。
1か月の負担の上限額は、収入に応じて異なります(表2)。
申請先は、市区町村の介護保険窓口です。

表2.高額介護サービス費の設定額と負担の上限額(出典:厚生労働省「介護保険の解説」)

【高額医療・高額介護合算療養費制度】
1年間の公的医療保険と介護保険のサービス費の合計が高額になった場合、負担額を軽減する制度です。
公的医療保険には高額療養費制度、介護保険には高額介護サービス費制度があり、1か月単位で自己負担額が軽減される制度があります。

しかし、これらの制度を利用してもなお、世帯単位で1年間の医療費と介護費の合計が、一定額を超えた場合に、超えた分の金額が還付される制度です。
対象は、医療保険と介護保険サービスの両方を利用している方、同じ公的医療保険制度に加入している世帯である方です。

負担の上限額は、年齢と世帯の所得に応じて異なります(表3)。

表3.負担上限額(世帯単位)(出典:厚生労働省「介護保険の解説」)

【各自治体の助成制度】
自治体によって、介護費用の助成制度がある場合があるので、確認してみましょう。

認知症保険と介護保険の違い

公的介護保険の保障と対象範囲

公的介護保険は国が実施している保険制度で、介護が必要と認定された方が、1~3割(収入に応じる)の自己負担額で介護サービスを利用できるものです。

40歳以上の方(第2号被保険者)が介護保険料を負担し、原則65歳以上の方(第1号被保険者)が要介護(あるいは支援)認定を受けた時に、介護サービスを受けることができます。
40~64歳でも、下記の16種類の特定疾病の場合は、利用できます。(表4)。

介護サービスには、デイサービスなどの通所系サービス、訪問看護・リハビリなどの訪問系サービスの他、福祉用具の購入・レンタルや住宅改修の支援などがあります。

  • がん(※医師が医学的知見に基づき、回復の見込みがないと判断した場合)
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節

表4.介護保険の16特定疾病(出典:厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」)

民間介護保険の契約と保障の違い

民間の保険会社でも介護保険という商品があり、保険会社が定める介護が必要な状態になった時に、保険金・給付金が支払われます。

公的介護保険は介護サービスの支援を受けられるのに対し、民間介護保険はお金の支援を受けられます。また、介護認定を受けた場合にのみ利用が可能になる点で、民間介護保険とは異なります。
民間介護保険の保険金は一括で支払われる商品と年金形式で支払われる商品があります。また、商品によっては、一時金と年金形式での両方を受け取れるものもあります。

要介護認定が必要な場合とは

公的介護保険を利用するには、必ず要介護認定が必要になります。
要介護認定を申請する流れは、以下の通りです。

  1. 市区町村の窓口に、本人や家族などが申請します。
  2. その後、認定調査員が本人の状態を確認しに来ます。
  3. 医師の意見書と合わせ、審査判定が行われます。
  4. 認定結果は、約1か月程度で通知されます。
  5. 要介護認定が済むと、介護支援専門員(ケアマネジャー)の担当が決まります。
  6. 介護支援専門は本人や家族と相談の上、希望するサービスを反映したケアプランを立てます。
  7. その後、介護サービスの利用が可能となります。
  8. ケアプランは利用者の状態や希望に合わせ、定期的に見直されます。

認知症患者の事故補償を解説

認知症の方が事故や近隣でのトラブルを起こしてしまうケースはよく報告されており、損害賠償責任に備えられる「損害補償タイプ」の認知症保険があります。

よくあるトラブルの例は、火の不始末による火事、蛇口の閉め忘れによる下の階への漏水、近隣の住民やお店の所有物を破損、交通事故などです。
事故の賠償として、多額の損害賠償金が請求される可能性があります。

損害補償タイプの認知症保険では、損害賠償責任が発生した時に、必要な賠償金を一定の金額まで補償する保険です。
最大で500万円まで補償してくれる商品もあります。

他にも、示談交渉や徘徊時の捜索にかかる費用などの補償が受けられるものもあります。
加入条件は保険会社によって異なりますが、認知症の診断なしで加入でき、認知症になってからでも加入できるなど、条件のやさしい商品もあります。

民間の保険以外の事故補償では、自治体が独自の個人賠償責任保険を導入するところが増えてきています。
また、火災保険・自動車保険・傷害保険・共済などに加入している方は、特約として個人賠償責任保険が付帯している可能性があるので、確認してみましょう。

認知症保険は必要?加入前の判断

認知症保険が向いている人とは

認知症保険が向いている人は、以下のような点が挙げられます。

  • 早めに準備しておきたい人:基本的には、健康なうちに加入する必要があるため、早めの対策を考えている方に向いています。家族に金銭的な負担をかけたくない方や、治療費および介護費用を前もって準備しておきたい方におすすめです。
  • 認知症のリスクが気になる人:認知症は今や誰でもなりうる病気の一つです。将来的な認知症のリスクと経済的不安を抱える方は、認知症保険はいざという時の安心材料になります。
  • 貯蓄が十分でない方:上述した通り、治療や介護費用は継続的にかかり、介護度が上がるにつれて介護費用も増加します。長期的に費用を捻出しなければならず、特に貯金が十分でない方は、認知症保険によって経済的な困窮を避けられる可能性があります。

加入時期や保険料の負担も考慮し、自分や家族のライフプランに応じて検討するとよいでしょう。

貯蓄・共済・介護保険と比較

認知症保険と貯蓄・共済・介護保険を比べた時のメリットとデメリットについて解説します。

  • 認知症保険:認知症リスクに対する備えとして有効で、給付金の使途は自由であることがメリットです。一方、保険料が比較的高額になる場合や、認知症以外の病気には対応しない商品の場合はデメリットになります。
  • 貯蓄:資金の使途が自由で、必要な時に引き出せることがメリットです。一方、十分な金額を蓄えるまでに時間がかかることがデメリットです。
  • 共済:保険料が比較的安価であることがメリットです。だし、保障内容が限定されており、公的介護保険や認知症保険ほど手厚い補償を受けられない点がデメリットです。
  • 公的介護保険:介護サービスを受ける時や住宅改修や福祉機器の導入時に費用負担を軽減することがメリットです。一方、サービス利用に上限があり、すべての費用をカバーするわけではないことがデメリットです。
  • 民間介護保険:公的介護保険ではカバーしきれない費用負担を軽減するメリットがあります。一方、保険料が高額になる場合があることがデメリットです。

親の認知症に備える負担軽減策

親の認知症に備え、経済的な負担を軽減するには、公的支援を最大限に活用し、民間の認知症保険など複数の方法を組み合わせることが有効です。

保険会社によって、認知症保険の保険料や保障範囲は異なります。複数の会社で比較することが重要です。
貯蓄が十分にあって心配がない場合は、公的支援との組み合わせのみという選択肢もあります。

認知症保険の選び方と契約の比較

加入条件・持病がある場合は?

一般的に、以下のような告知項目に該当しないことが加入条件になります。

  • 現在、入院中でないこと。
  • 過去5年以内に特定の病気(例:アルツハイマー病、うつ病、脳卒中など)で診察・治療を受けていないこと。
  • 過去に認知症または軽度認知障害(MCI)の診断を受けていないこと。
  • 公的介護保険の介護認定(要支援を含む)を受けていないこと。

持病がある場合は、これらの告知項目に該当する可能性があるため、加入が制限されてしまうことがあります。

持病がある場合でも、告知項目が少ない引受基準緩和型保険や無告知でよい無選択型保険では加入できる可能性があります。

  • 引受基準緩和型保険:一部の生命保険・医療保険では、告知項目が少なく、認知症の方でも加入できる場合があります。通常の保険と比べて保険料は割高になります。
  • 無選択型保険:告知や医師の診査(被保険者の健康状態を把握し、契約の可否を判断)が不要なのが特徴です。保険料は、引受基準緩和型保険よりもさらに割高です。また、保障内容には制限がある場合が多いため、保険料に見合った保障内容か、慎重に検討しましょう。

詳細は各保険会社によって加入条件は異なるため、事前に確認することが重要です。

給付金の条件(診断・要介護)

認知症保険の給付金の支払い条件は、一般的には以下のような条件が設定されています。

  • 認知症と診断された場合
  • 公的介護保険で要介護1以上の認定を受けた場合。
  • 日常生活自立度の判定が一定以上のランクである場合。一般的に、ⅡaまたはⅡb以上としているところが多くあります(表5)。手厚い保障の商品では、ⅢaまたはⅢb以上としている場合もあります。

保険商品によって異なるため、必ず確認しましょう。

表5.認知症高齢者の日常生活自立度(出典:厚生労働省「認知症高齢者の日常生活自立度」)

保険金の受取方法(年金・一時)

保険金の受取方法には、年金タイプと一時金タイプの2種類の方法があります。

  • 年金タイプ:所定の条件を満たした後に、定期的(毎月または毎年など)に一定額を受け取ります。
  • 一時金タイプ:所定の条件を満たした時に、一度にまとまった金額を受け取ります。

一部の商品では、これらを組み合わせて、柔軟に受け取ることが可能なものもあります。

軽度認知障害(MCI)も保障?

軽度認知障害(MCI)にも対応する商品があり、認知症予防プログラムが付帯した商品もあります。
以下に、それらの保険について紹介します。

軽度認知障害(MCI)に対応した保険

診断時に30~100万円程の給付金を受け取れる商品があります(金額は各保険会社の商品によって異なります)。
さらに、認知症へ進行した場合に、追加の給付金が支払われる商品もあります。

認知症予防プログラム付き保険

軽度認知障害(MCI)の診断後にも加入でき、回復支援を目的としたプログラムが付帯している商品もあります。
プログラムには、脳の健康チェック(認知機能をチェック)、食事改善・運動プログラム、脳トレなどをスマホアプリで支援する商品があります。

保険料と保障のバランスを比較

保険料と保障のバランスを考える際には、以下の点を比較する必要があります。

  • 免責期間:加入からの一定期間に認知症と診断された場合は、保障対象外となります。この期間は、一般的に180日~2年ほどで設定されていることが多く、商品によって幅があります。
  • 給付回数:給付金が複数回にわたって受け取れる商品ほど、保険料が高めに設定されている場合が多いです。
  • 保障範囲:保障内容が充実している商品は、保険料が高くなる傾向があります。

これらを考慮し、ご自身のニーズや月々の予算に合わせ、保険料と保障のバランスを検討することが重要です。

認知症保険加入時の注意点

契約内容を家族に伝える重要性

認知症保険は被保険者が認知症を発症し、自身で保険金の請求が難しくなる可能性があります。
そのため、契約内容や保険証券の保管場所を家族にも共有しておくことが重要です。

保険会社によっては、家族の連絡先を登録する「家族(情報)登録制度」を設けている場合があります。
これにより、契約者と連絡が取れない場合でも、家族に連絡が届き、保険金や給付金の請求漏れを予防することができます。

待機期間(不担保期間)とは?

待機期間(不担保期間)とは、特定の病気や状態について、保険の契約直後から保障が適用されない期間のことです。
保険会社や商品によって待機期間の設定が異なるため、事前の確認が必要です。
一般的には、契約から1年~2年ほどに設定されていることが多いです。
この期間が短いほど、支払われないリスクは低くなります。

すべての認知症が給付対象?

認知症の原因によっては、保険の給付対象にならない可能性があります。
その具体例を以下に挙げます。

  • 軽度認知障害(MCI):認知症に進行する可能性はあるものの、日常生活に支障が少ないため、給付対象外となる商品が多くあります。一部の保険では、軽度認知障害(MCI)の段階から給付される特約を用意している場合もあります。
  • 事故や外傷:交通事故や頭部外傷による認知症(外傷性脳損傷)は、特定の商品では対象外になる場合があります。
  • アルコールや薬物依存:アルコールの過剰摂取、違法薬物や特定の薬剤乱用による場合は、給付対象外となる場合があります。
  • 精神疾患:統合失調症、うつ病、双極性障害等に伴う認知機能低下は、認知症とは異なるものとして扱われる場合があります。

給付条件は保険商品によって異なるため、必ず契約前に確認しましょう。

解約返戻金の有無と契約の見直し

一般的に、終身型(貯蓄型)の保険で解約返戻金がある場合があり、定期型(掛け捨て型)の保険では解約返戻金がありません。解約返戻金は加入期間が長くなるにつれて増えますが、早期解約では受け取れない場合もあります。

終身型のデメリットは、定期型よりも保険料が割高になることです。しかし、契約を見直す必要がなく、認知症がいつ発症しても安心な点がメリットです。

定期型では保険料が割安なメリットがある反面、契約終了から再加入後の待機期間(不担保期間)に認知症が発症するリスクがあります。

この点を踏まえ、慎重に検討しましょう。

認知症保険の手続きと利用法

加入から給付金請求の流れ

認知症保険の加入および給付金請求の一般的な流れは、以下の通りです。

【加入の流れ】
「保険会社の窓口・代理店・オンラインなどで必要書類を提出(所定の申込書・健康状態に関する告知書・本人確認書類・医療機関の診断書など)→引受審査→契約成立」という流れになります。

【給付金請求の流れ】
「保険会社に連絡→必要書類の提出(所定の請求書・医師の診断書・本人確認書類・保険証券のコピー)→審査→給付金の支払い」という流れになります。

必要書類の不備があると、どちらも審査が遅れてしまうため、注意しましょう。
具体的な手続きは保険会社によって異なる場合もあるので、契約先の保険会社に直接確認しましょう。

指定代理請求制度の仕組みとは

指定代理請求制度とは、被保険者が病気や事故などで意思表示ができなくなった場合に、あらかじめ指定した代理人が代わりに保険金や給付金を請求できる制度です。

契約者は被保険者の同意を得て、代理人を指定します。
指定できる範囲は保険会社によって異なりますが、一般的には以下の通りです。

被保険者の配偶者(内縁関係を含む)、被保険者の直系血族(父母・子など)、被保険者の3親等内の親族(孫、祖父母、叔父・叔母、甥・姪など)、被保険者と同居または生計を共にしている方、被保険者の療養看護や財産管理を行っている方です。

指定代理請求が可能となるのは、被保険者が意思表示できない場合や、重篤な傷病で請求手続きが困難な場合などです。
指定代理請求人は後から変更できますが、保険契約の解約手続きは行えません。
解約を行うには、成年後見人や任意後見人の選任が必要となる場合があります。

請求時の必要書類と注意点

請求時の必要書類は保険会社によって異なる場合もありますが、一般的なものは以下の通りです。
請求内容によって必要書類が異なるため、請求内容に分けて説明します。

給付金の請求時

給付金請求書(保険会社指定の書式)、医師の診断書または入院証明書(保険会社指定の書式)、診療明細書・領収書のコピー(病院から発行)、請求者の本人確認書類です。

死亡保険金の請求時

保険金請求書(保険会社指定の書式)、死亡診断書(医師が作成)、戸籍謄本または死亡届のコピー(続柄確認のため)、請求者(受取人)の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)、保険証券(必要な場合)です。

まとめ:最適な認知症保険とは

認知症保険の必要性と選び方

日本では高齢化が急速に進み、認知症患者の増加は今後も継続する見込みです。
認知症になると、医療費や介護費用などの経済的負担が生じる可能性があります。

このリスクに備えるため、認知症保険への加入は有効な手段の一つです。
選び方のポイントについて、以下に詳しく解説します。

  • 保障内容の確認:保険商品によって、認知症と診断された際の一時給付金や、要介護状態に応じた年金形式の給付金など、保障内容が異なります。ニーズにあった保障内容を選択することが重要です。
  • 保険料と支払い期間:保険料の金額や支払い期間は商品によって異なります。長期的な視点で、家計に無理のないプラン設定を選択することが重要です。
  • 特約の有無:特定の条件下で保険料の払込が免除されるなど、付帯サービスも確認すると良いでしょう。

公的支援と民間保険の併用方法

公的介護保険制度や高額療養費制度など、認知症患者やその家族を支援するさまざまな公的支援があります。
これらの公的支援を活用することで、介護サービス利用料や医療費の負担を軽減できます。
しかし、公的介護保険制度では介護認定に応じたサービスの上限額が決まっており、それ以上の利用は全額自己負担になります。

公的介護保険でまかないきれない介護サービス費・住宅改修費・福祉用具の導入費などには、民間の認知症保険を併用すると良いでしょう。

家族と相談し最適な契約を選択

認知症になると、経済的な負担や介護の負担など、家族にも大きな影響を及ぼします。家族のライフイベントも考慮し、将来的にかかる費用を見積もっておくと良いでしょう。

また、本人や家族が望む介護のあり方についても、事前に話し合っておくと、将来設計の判断材料になります(在宅介護か施設介護かなど)。その上で、複数の商品を比較し、保障内容や保険料などを総合的に判断することが重要です。

<参考>

  • 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「認知症情報ポータル」
  • 生命保険文化センター「介護・認知症保険の選び方」
  • 公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険を知る・学ぶ」
  • 公益財団法人 生命保険文化センター「ひと目でわかる生活設計情報」
  • 金融庁「保険選びのポイント」
  • 厚生労働省「介護保険について」
  • 厚生労働省「介護保険の解説」
  • 生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」
  • 生命保険文化センター「介護費用の実態調査」
  • 厚生労働省「介護施設の費用ガイド」
  • 厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」
  • 厚生労働省「高額療養費制度」
  • 金融庁「保険契約の基本」
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