パーキンソン病と診断され、将来の経済的不安を抱えていませんか?
すでに生命保険に加入済みの方は、おりる給付金や保険金があります。
発病後に加入する場合でも、通常より加入条件が緩い保険に加入できる可能性があります。
各保険の加入条件・選び方・リスク対策・加入手順、そして公的支援などについて詳しく解説します。
この記事の内容をまとめると
- パーキンソン病は長期的な治療や介護が必要となるため、金銭面の備えが大切です。
- パーキンソン病になった場合に受け取れる生命保険の給付金は、難病特約を除けば、他の病気による入院や治療と同様に、入院給付金・手術給付金・死亡保険金などが支払われます。
- パーキンソン病になった場合でも、加入条件が緩い、引受基準緩和型保険・無選択型(告知不要)保険・県民共済に加入できる可能性があります。
- パーキンソン病で利用できる公的支援は、難病医療費助成制度・高額療養費制度・介護保険制度・障害年金の受給(身体障害者手帳の交付)などです。
- 家族構成やライフステージを考慮し、公的支援だけでは足りない部分を補うために、生命保険も含めた総合的な検討が重要です。
パーキンソン病とは?基礎知識と保険加入への影響
主な症状と進行度
パーキンソン病は50歳以上で発症しやすく、加齢とともに発症リスクが高まります。
主な運動症状は、4つあります。
- 安静時振戦(手足などがふるえる)
- 筋強剛(全身の筋肉がこわばる)
- 動作緩慢、無動(動作の速度がゆっくりとなる、または止まる)
- 姿勢反射障害(転びやすくなる)
さらに、様々な運動以外の症状も出現します。
- 自律神経障害(睡眠障害、便秘、頻尿、起立性低血圧、発汗異常など)
- 精神機能障害(意欲の低下、抑うつ、幻覚、妄想など)
- 認知機能障害(複数の作業を同時にこなすのが苦手になるなど)
すべての症状が必ず現れるわけではなく、どの症状が強く出現するかは、個人差があります。
進行度も個人差があり、慢性進行性(ゆっくりと病状が進行する)の疾患です。
パーキンソン病の影響による平均寿命の差は、一般的に2~3年程度とされています。
運動症状の進行度(重症度)を示す指標に、ホーン・ヤールの重症度分類があります(図を参照)。
生活機能障害度(日常生活に支障をきたす程度)と合わせて説明しています。
身体の片側から症状が出現し(Ⅰ度)、やがて両側に広がります(Ⅱ度)。
Ⅲ度以上で、転びやすくなります。
徐々に、日常生活で他者の支援が必要になります。
Ⅴ度では車いすでの生活や、寝たきりとなります。

図.ホーン・ヤールの重症度分類(出典:パーキンソン病サポートネット)
診断基準と指定難病の条件
パーキンソン病の診断基準は、下記の4項目を満たすことが条件です。
- パーキンソニズムがある(左右差のある安静時振戦、筋強剛・動作緩慢・姿勢反射障害のいずれか2つ以上が存在)。
- 脳CTまたはMRIに特異的な異常がない(他の原因と考えられる所見がない)。
- パーキンソニズムを起こす薬物や毒物への曝露がない。
- パーキンソン病治療薬でパーキンソニズムの改善がある。
パーキンソン病は指定難病の疾病です。
『難病』と『指定難病』は異なります。
指定難病とは、難病のうち、定められた条件を満たすものを厚生労働大臣によって指定された疾病で、医療費助成の対象になります。
それぞれの条件を示し、違いを解説します。
難病
- 原因が未解明。
- 根治する治療法が未確立。
- まれな疾病(患者数の限定はない)。
- 長期的な療養が必要。
指定難病
- 患者数が一定の人数に達していない(人口の0.1%以下)。
- 客観的な診断基準(または、それに準ずるもの)が設けられている。
これらの条件をすべて満たすことが、指定を受ける条件です。
令和6年4月時点の指定難病は、341疾病です。
生活や就業への影響
疾病が発症してから、すぐに生活動作や仕事ができなくなることはありません。
投薬が適切に調整されれば、初期には運動症状が大幅に軽減することがほとんどです。
しかし、発症後の期間が長くなるにつれ、薬の効果が弱まる時間が出てきます。
そのような時に、歩きにくくなったり、両手での作業がやりづらくなったりと、生活動作の全般に時間を要すことが増えます。
仕事では、方法や内容の変更、通勤手段の変更などが進行度によって必要になります。
ホーン・ヤールの重症度分類Ⅲ度以降になると、影響が大きくなります。
移動の一部に、杖や歩行器などを使用し始めるのがこの時期です。家の中での生活動作を一人で安全に行えるように、手摺の設置や福祉用具を導入します。
Ⅳ度になると、ベッド上での寝返りも大変になります。
起き上がりや椅子への乗り移りにも、他者の支援が必要になります。
ベッド柵や電動ベッドなどを導入し、移動は車椅子を使用する頻度が増えます。仕事はデスクワークなどで継続される方もいますが、退職される方が増えます。
Ⅴ度になると、生活全般に多くの支援が必要になり、車椅子の移動も介助が必要になります。
寝たきりになる場合もあり、仕事は続けられなくなります。
パーキンソン病でも生命保険に入れる?加入できる条件とは
生命保険とは?契約・保障内容の基礎知識
生命保険とは、万が一の時に契約者や家族が金銭的な保障を受けられる仕組みです。
つまり、自分と家族の生活を守る備えです。
契約・保障内容は、契約する保険の種類によって大きく異なります。
代表的な死亡に備える生命保険は、3つあります。
保証期間、保険金、保険料の違いについて解説します。
1)定期保険(掛け捨て型)
- 保障期間:一定の期間が決まっており、年満了(年数で設定)と歳満了(年齢で設定)があります。この期間を過ぎると、保障は終了です。
- 保険金:契約期間中に死亡した場合に死亡保険金が支払われます。満期が来た場合や途中で解約した場合は、保険金は原則的に支払われません。
- 保険料:一般的に安いです。
2)終身保険(貯蓄型)
- 保障期間:途中で解約や失効がない限り、契約者が亡くなるまで継続します。
- 保険金:満期保険金はありませんが、期間の経過と共に解約返戻金が増え、途中で解約した場合に支払われます。ただし、早期解約の場合、受け取れない場合があります。
- 保険料:一般的に定期保険より高く、基本的に加入時から一定です。
3)養老保険(貯蓄型)
- 保障期間:一定の期間が決まっており、年満了(年数で設定)と歳満了(年齢で設定)があります。この期間を過ぎると、保障は終了です。
- 保険金:一定の期間内に死亡した場合、死亡保険金が支払われます。また、満期まで生存していた場合、満期保険金が支払われます。
- 保険料:一般的に終身保険よりも高いです。
4)その他
- 保険会社が定める高度障害状態に該当した場合、高度障害保険金を受け取れるものもあります。
- 被保険者が亡くなった後、遺族が年金形式で保険金を受け取れる収入保障保険があります。
一方、ケガや病気に備える生命保険に、医療保険があります。
病気の治療のために入院した時に、入院給付金や手術給付金が支払われます。
がん保険のように、特定の病気の保障が受けられる保険もあります。さらに、被保険者がケガや病気で働けなくなった時に受け取れる就業不能保険もあります。
このように生命保険には多くのプランがあるので、何を目的とした保障を受けたいかを整理する必要があります。
指定難病と生命保険の関係
指定難病になると、他の持病を抱えた場合と同様に、通常の保険に加入することが難しくなります。
生命保険は多くの人がそれぞれの危険度(給付金が生じる可能性の程度)に見合った保険料を支払い、保障し合う制度のため、契約者間での不公平が生じないようにするためです。しかし、パーキンソン病になった後でも、生命保険に加入できる可能性があります。
パーキンソン病患者が加入できる生命保険の種類
パーキンソン病になっても、生命保険への加入を諦めないでください。
加入できる可能性がある生命保険は、引受基準緩和型保険・無選択型保険・共済保険の3種類です。
これらの保険について、詳しく解説します。
パーキンソン病患者が加入できる保険の種類と特徴
通常の生命保険・医療保険に加入できるケースと注意点
加入できる可能性がある生命保険は、告知項目が少ない引受基準緩和型保険・共済保険か、告知の必要がない無選択型保険です。
加入の際には、いくつかの注意点があります。
各保険会社によって条件が異なる場合があるため、事前に確認しましょう。
保険料が割高になる傾向があるため、保障内容に見合った保険料か、十分に検討しましょう。
引受基準緩和型保険とは?保険料・保障内容の違い
引受基準緩和型保険とは、加入する時に告知項目が少ないのが特徴です。
一般的な告知項目
- 最近3カ月以内に、医師から入院・手術・検査をすすめられたことがありますか?
- 過去2年以内に、入院や手術をしましたか?
- 過去5年以内に、がん・上皮内がん、肝硬変、統合失調症、認知症、アルコール依存症で、医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかを受けたことがありますか?
これらの告知項目に1つも該当しない場合に、原則として加入できます。
ただし、保険会社ごとに告知内容や基準が異なる場合があります。
通常の保険と比較して、保険料が割高になる傾向があり、保障内容も各保険会社で異なります。
通常の医療保険と比較すると、保障の選択肢は少ない傾向があります。
複数の保険会社で、条件を比較しましょう。
無選択型(告知不要)保険の特徴と加入しやすい条件
加入する時に、健康状態の告知が不要です。
加入後から一定の免責期間(通常は1~2年)を過ぎれば、死亡時に保険金が支払われます。
免責期間に病気で死亡した場合は、支払った保険料の一部または全額返還にとどまる場合が多いです。
保障範囲は限定的な場合が多く、保険料は引受基準緩和型保険より割高です。
保険料に見合った保障内容か、慎重に検討しましょう。
難病特約付き保険の保障範囲と契約のポイント
一部の生命保険では、パーキンソン病になった場合に給付金がおりる難病特約を設けています。
難病特約の保険期間内にパーキンソン病を発病し、所定の診断基準に該当した場合、給付金が支払われます。
パーキンソン病になってから、加入はできません。
保険会社によって保障内容が異なるため、検討している方は比較しましょう。
県民共済・共済保険への加入は可能か?
健康状態の告知条件が民間の保険会社より緩いことが多く、加入できる可能性があります。
県民共済(都道府県民共済)とは、共済保険の内の1つで、厚生労働省から認可された全国生協連と各生活協同組合が運営する保険です。
利用条件は、その県に居住し、職場がある方です。
県民共済の特徴は、掛け金が一律で掛け捨てですが、余剰金が出た時に割戻金が還元されます。また、シンプルな設定のために自由度は低く、死亡保障が民間の保険ほど多くありません。
医療保険・介護保険で保障を受けられる範囲
パーキンソン病患者は、医療保険と介護保険の両方から支援を受けることができます。ただし、要介護認定を受けた場合は、介護保険が優先されます。
特別な医療的支援が必要な場合は、主治医の指示により、医療保険が適用されることもあります。この場合、同じ期間内に医療保険と介護保険を併用できません。
介護保険で要介護認定を受けた場合、デイサービスなどの通所系サービス、訪問看護・リハビリなどの訪問系サービス、福祉用具のレンタルや住宅改修の支援などを利用できます。
要介護認定では、介護度が要支援1・2、要介護1~5の区分があり、区分に応じて支給限度額が異なります。
自己負担額は所得に応じ(1~3割)、限度額を超えた場合は全額自己負担です。
パーキンソン病患者が生命保険に加入するメリット・デメリット
家族の負担を減らすための保障と老後資金の確保
生命保険に加入するメリットとして、医療費や介護費などの家族が負担する経済的な負担を軽減できる可能性があります。
万が一の時に、給付金や保険金が支払われることで、経済的な苦境に陥るリスクを和らげる手段の一つとなります。さらに、パーキンソン病は長期的な治療や介護が必要になるため、将来の老後資金として役立つ可能性もあります。
保険料の高さ・加入制限
パーキンソン病で加入できる保険は、保険料が高く設定されている場合が多いです。
健康状態によって、保険料が通常より割高になり、長期的な負担が大きくなる可能性があります。
既に診断されている場合、保険会社によっては加入を断られる場合や、加入条件が厳しくなる場合があります。
加入後の見直しとリスク管理
病状の進行や治療内容の変化に応じて、保険内容の見直しが必要になる場合があります。
将来的な医療費の変動および介護のリスクに対応するため、定期的なリスク評価と保険内容の再検討が大切です。
生命保険の選び方と比較ポイント
加入しやすい生命保険・医療保険の選び方
自分や家族がどのようなリスクに備えたいのか加入目的を明確にしましょう。
必要な保障内容を確認し、適切な商品を選択します。その際、病気の状態や加入時の年齢などにより加入できない場合もあるので加入条件も確認しましょう。
長期的な支払いが可能で、家計に無理のない保険料で設定しましょう。
保障内容と保険料のバランスが重要です。
生命保険会社の比較方法
生命保険会社によって、同じ保障内容でも保険料や特約が異なるため、複数の保険会社の商品を比較しましょう。
生命保険会社を比較する上で、もう一つの判断基準は、信頼性です。
各保険会社の財務状況や顧客満足度なども重要です。公式サイトや第三者機関の評価を参考にしましょう。
家族が選ぶべき保険と契約時の注意点
家族の人数や年齢、将来の計画によって、必要となる保障内容や期間が変わります。保険を選択する際、家族構成とライフステージを考慮することが重要です。
契約時に、保障内容、保険料、特約、解約返戻金などをしっかり確認しましょう。不明な点は保険会社の担当者に質問し、納得してから契約することが大切です。
生命保険と公的支援を活用した最適な保障プラン
公的年金や健康保険などの制度でカバーできる範囲を確認し、不足する部分を民間の生命保険で補うようにトータル的に考えると、効率的な保障プランが設定できます。
ここでは、3つの公的支援制度について、詳しく解説します。
1)高額療養費制度
1か月(月初め~月末まで)に負担する医療費の合計金額が、自己負担限度額を超える場合に利用でき、自己負担限度額を超えた分の金額が戻ってきます。
2)難病医療費助成制度
国が指定する難病に罹患し、一定の認定基準を満たす方に対し、医療費の自己負担額を軽減するための制度です。
パーキンソン病では、ホーン・ヤールの重症度分類Ⅲ度以上、かつ生活機能障害度が2度以上の方が対象です。
所得状況に応じて、月ごとの自己負担上限額が設定されます。
医療費などの3割を自己負担している方は、負担割合が2割に軽減されます。元々の負担割合が1~2割の方は、変更ありません。
上記の重症度基準を満たさない場合でも、医療費総額(10割負担)が月額33,330円を超える月が年間3回以上ある場合は助成の対象となります。
3)身体障害者手帳の交付
身体障害者福祉法に定められた肢体不自由の障害がある方で、18歳以上の方は、身体障害者手帳の交付を受けることができます。
後述する様々な支援を受けることできます。ただし、障害の等級や住んでいる自治体によっても異なる場合があるので、各自治体に確認しましょう。
金銭面の支援(重度障害者医療費の助成※1、特別障害者手当※2、障害厚生年金※3・障害基礎年金※4、税金の控除など)、外出の支援(各種公共交通機関の割引、自動車燃料費の助成、福祉タクシー利用券の交付、身体障害者自動車改造費の助成など)、生活の支援(おむつの支給、出張理美容サービスなど)などです。
住宅ローン代わりに生命保険を活用する方法
住宅ローンを組む時に、多くの金融機関では団体信用生命保険への加入を求めます。
これは、ローンの契約者が死亡または高度障害になった場合に、残りのローンが保険金で完済されるものです。
住宅ローン以外の支出についてはカバーできないので、別途で保障を確保することも検討しましょう。
生命保険の加入時に注意すべきポイントとリスク対策
告知義務違反のリスク!虚偽申告による契約無効とは
告知書の内容に事実と異なる内容があった場合、告知義務違反となり、保険金や給付金が支払われない場合や契約を解除となる可能性もあります。
それまでに支払った保険料は返金されません。告知書は、加入の是非や保険料を保険会社が判断する材料です。
不明な点は保険会社の担当者に確認し、十分に注意して記載しましょう。
加入後の保険見直し時の注意点
現在の保障内容(死亡保障、医療保障、特約の有無など)をきちんと再確認しましょう。
重要な確認事項は、ライフステージ(子供の独立、退職など)に応じた必要保障額か、不要な保障が含まれていないかなどです。
新しい保険に乗り換える場合は、保障の空白期間ができないように、必ず新しい保険の加入が完了してから既存の保険を解約しましょう。
元の保険の加入時から現在の健康状態が大きく変化した場合、保険の乗り換え時に保険料が上がるか、加入できない場合もあるので慎重に判断しましょう。
生命保険の請求手続きでの注意事項と支払対象の条件
請求手続きで大切な4つの注意事項について解説します。
1)期限を守る
生命保険には請求期限があり、通常3年(一部は5年)です。遅れると、受け取れなくなる可能性があります。
2)必要書類の確認
一般的に、保険金請求書(指定の書類)、被保険者の死亡診断書(または死体検案書)、契約者の身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)、保険証券、受取人の銀行口座情報です。
3)受取人の確認
保険金の受取人は、契約時に指定した人です。契約内容と受取人の情報が一致しているかを確認しましょう。
4)病気の詳細を確認
病気で死亡した場合、保険会社が契約内容と照らし合わせて詳細を確認するため、診断書の内容が重要です。
不明な点があると、支払いが遅れる場合があるので、明確な記録を残しましょう。
生命保険の支払対象の条件は、①病気による死亡、②高度障害状態になった場合です。
① 病気による死亡
契約者が病気で死亡した場合、死亡保険金が支払われます。ただし、責任開始日(保健が有効になる日)より前に発症していた病気の場合、支払いを拒否されることがあります。
② 高度障害状態になった場合(特約がある場合)
病気で手足の機能が失われるなど、高度障害と認定された場合には、死亡時と同額の保険金が支払われることがあります。
生命保険の契約を断られる主な理由とその対処法
生命保険の契約を断られる理由で、最も多い5つの理由について、対処法と共に解説します。
① 健康状態に問題がある
持病がある、過去に大きな病気を患った、最近の健康診断で異常があった等の場合です。
対処法:引受基準緩和型保険を検討する、健康状態が改善してから再度申し込む、団体保険(職場など)に入るなどの対応が考えられます。
② 高年齢である
多くの保険は、加入が可能な年齢の上限(60~75歳など)が決まっています。
対処法:シニア向けの生命保険を探す(80歳以上で可能なものもある)、定期保険を選ぶ(期間限定だと加入しやすい)、貯蓄型保険を検討する(貯蓄を活用し、死亡保障は最小限にする)などの対応が考えられます。
③ 職業や趣味がリスクと判断される
建設作業員、パイロット、警察官などは危険な職業と判断されます。また、スカイダイビング、レーシングなどはリスクの高い趣味と判断されます。
対処法:別の会社を探す(保険会社によって判断基準が異なる)、会社の団体保険に加入するなどの対応が考えられます。
④ 過去に保険を解約・失効している
短期間での解約が続いた場合や、保険料の未払いで失効した経験があった場合などに、保険会社から継続に不安があると判断されることがあります。
対処法:一度に複数の保険に申し込まない(過去の履歴が影響することもある)、無理のないプランを選択するなどの対応が考えられます。
⑤ 告知内容に問題がある
健康状態などを偽り、後に発覚した場合は、契約を解除されます。
対処法:記載ミスの場合は、正直に告知することで認められる場合もあります。
パーキンソン病患者が生命保険に加入する手順と申請の流れ
事前準備
必要な医療情報の整理が必要です。
保険会社への一般的な提出書類は、診断書、直近の健康診断の結果、服薬情報(使用中の薬剤と投薬開始日)、主治医の意見書(求められた場合)などです。
生命保険・医療保険の相談窓口の活用方法
相談窓口には、保険会社の窓口、保険代理店、FP(ファイナンシャルプランナー)への相談、オンライン上での相談があります。
保険代理店では、複数の保険会社の商品を比較できるメリットがあります。
FPへの相談では、保険以外の資産運用や税金対策も含めた総合的な相談ができるのがメリットです。
オンライン上での相談では、自宅から気軽に相談できるのがメリットです。
複数の保険を比較し、最適な保障を選ぶ方法
自分や家族にとって最適な保障を選ぶためには、下記の5つの視点で複数の保険を比較しましょう。
① 保険の目的を明確にする
何のために保険に入るのかを考えましょう。目的によって最適な保障が異なります。
② 必要な保障額と期間を確認する
家族構成やライフステージに応じた死亡保障かを確認しましょう。
健康保険の高度療養費制度を考慮し、過剰な保障は避けましょう。
③ 保険料の負担を考慮する
毎月の支払いが家計に過度な負担にならないか、長期的に払い続けられる金額かを確認しましょう。
④ 保険会社の信頼性を確認する
保険会社の経営の安定性を示す指標に、ソルベンシー・マージン比率という指標があります。
通常の予測を超える大きなリスクが発生しても、保険金を支払う能力があるかを判断するための基準です。
金融庁の基準では、200%以上あれば健全とされています。その他、クレーム対応や口コミなどもチェックしておくと安心です。
⑤ 他の制度とのバランスを考慮する
公的支援や職場の福利厚生なども考慮し、できる限り無駄のない設計にしましょう。
契約手続きと審査の流れ
生命保険に加入する時には、「申し込み→審査→契約の成立」という流れになります。
まず、必要書類を準備し、保険会社または代理店で申し込みます。
その際、告知書または医師の診査によって健康状態などを申告します。
それらをもとに、生命保険会社による引受審査が行われ、問題なければ契約の成立となります。
特別条件付き承認で保険料が割増になる場合もあります。
保険金・給付金の請求手続きと必要書類の準備
保険金・給付金の請求手続きは、「保険会社に連絡→必要書類の提出→審査→受け取り」という流れになります。
入院給付金などの請求時の必要書類は、給付金請求書(保険会社指定の書式)、医師の診断書または入院証明書(保険会社指定の書式)、診療明細書・領収書のコピー(病院から発行)、請求者の本人確認書類です。
死亡保険金の請求時の必要書類は、保険金請求書(保険会社指定の書式)、死亡診断書(医師が作成)、戸籍謄本または死亡届のコピー(続柄確認のため)、請求者(受取人)の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)、保険証券(必要な場合)です。
まとめ:パーキンソン病でも生命保険で安心できる生活を!
家族に負担をかけないための生命保険活用術
公的支援を十分に活用し、家族構成やライフステージを考慮したうえで、不足する部分を生命保険で補うなど、総合的に検討しましょう。
保障内容と保険料のバランスが重要で、長期的に無理なく継続できるプランを設定しましょう。
パーキンソン病でも安心して暮らせる保障の選び方
パーキンソン病は長期的な治療や介護が必要となるため、金銭面の備えが大切です。
公的支援には、難病医療費助成制度・高額療養費制度・介護保険制度・身体障害者手帳の交付(障害年金の受給など)などがあります。
これらの公的支援を十分に活用しながら、必要と思われる保障を継続できる範囲で選択することが重要です。
<参考>
- 公益財団法人難病医学研究財団 難病情報センター「パーキンソン病(指定難病6)」
- 公益財団法人難病医学研究財団 難病情報センター「2015年から始まった新たな難病対策」
- 公益財団法人生命保険文化センター「生命保険を知る・学ぶ」
- 公益財団法人 生命保険文化センター「ひと目でわかる生活設計情報」
- 日本年金機構「障害年金」
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