事故や病気が原因で高次脳機能障害を発症した場合、将来の経済的な不安もあると思います。
さまざまな支援制度を活用しつつ生命保険に加入することで、将来的な経済的負担を軽減できる可能性があります。
生命保険の加入条件や保障内容、保険金請求の手続き、トラブル防止策、公的支援について詳しく解説します。
この記事の内容をまとめると
- 高次脳機能障害を持った場合でも、引受基準緩和型保険と無選択型保険の生命保険に加入できる可能性があります。
- 高次脳機能障害で生命保険の請求手続きをする際にトラブルが起こりやすく、成年後見人制度の利用や記録を残しておくなどの事前の防止策が重要です。
- 高次脳機能障害の原因や年齢によって、利用できる公的支援制度(障害福祉サービス・介護保険サービスなど)が異なるため、事前に確認が必要です。
- 公的支援制度を十分に活用し、家族構成やライフステージを考慮した上で、足りない部分を生命保険で補うなど、トータル的に検討しましょう。
高次脳機能障害とは?
病気の定義と該当条件
高次脳機能障害とは、事故や病気による脳の損傷により、「話す・考える・覚える・集中する」などが困難になり、生活に支障をきたす状態のことを言います。
高次脳機能障害の診断基準は、脳の損傷が原因で、「話す・考える・覚える・集中する」などの認知機能に障害が生じ、日常生活活動に支障をきたしていることです。
主な症状と医師の診断基準
高次脳機能障害の主な症状と具体例を紹介します。
- 記憶障害:新しい情報を覚えられない、物の置き場所を忘れる、同じ質問を繰り返すなど。
- 注意障害:集中力が長く続かない、気が散りやすい、作業中にミスが多くなる、二つのことを同時に行うと混乱するなど。
- 遂行機能障害:計画的に物事を進められない、優先順位がつけられない、指示がないと行動できないなど。
- 社会的行動障害:意欲が低下する、感情のコントロールが難しい、自己中心的な行動となる、場にそぐわない言動をするなど。
外見からはわかりづらく、「見えない障害」とも言われます。
本人や家族も気づきにくいため、周囲の理解を得られにくく、精神的な負担を感じやすい特徴があります。
これらの症状は、高次脳機能障害支援モデル事業が支援対策を推進するために定義したもので、学術的に用いる「高次脳機能障害」の定義の中の一部です。
高次脳機能障害の診断基準は、厚生労働省が下記の3つの要件を定めています。
- 主要症状
脳の器質的病変を引き起こす事故や病気の発症が確認されている。
また、日常生活活動または社会生活に制約があり、その主たる原因が高次脳機能障害である。 - 検査所見
脳MRIやCTなどの画像診断や脳波の検査で、高次脳機能障害の原因となる脳の器質的病変が確認される(あるいは、診断書により脳の器質的病変が存在したと確認される)。 - 除外項目
先天性疾患(生まれつき持っている構造や機能の異常)、周産期(妊娠22週から出生後7日未満まで)における脳損傷、発達障害、進行性疾患など、他の原因による症状の場合は除外される。
また、受傷または発症以前からある症状と検査所見も除外され、生活への制約が身体障害のみによるものである場合も、診断の対象外となる。
以上の3つの要件をすべて満たした場合に、高次脳機能障害と診断されます。
例外的に、検査所見については、器質的な病変が明らかでない場合でも慎重な評価によって診断されることもあります。
診断のタイミングは、症状が変化しやすい急性期の症状を脱した後に行われます。
認知症との違いと判断基準
高次脳機能障害と認知症は、どちらも認知機能が障害されますが、発症の原因、進行の有無、年齢層の3点で異なります。
これら3点の違いについて、詳しく解説します。
- 発症の原因
高次脳機能障害は、脳外傷や脳血管障害などによる脳損傷が原因です。
一方、認知症は神経変性が主な原因です。 - 進行の有無
高次脳機能障害は、脳損傷の影響で症状が現れ、その後は一定の状態になるか、リハビリテーションによって改善する可能性があります。一方、認知症は徐々に進行し、症状が悪化します。 - 年齢層
高次脳機能障害は、年齢に関係なく発症する可能性があります。
一方、認知症は一部を除き、高齢者に多く認めます。
これらの違いを考慮し、医師は患者の病歴、症状の進行状況、画像診断の結果などを総合的に評価し、適切に診断します。
生命保険と公的支援制度
生命保険での保障内容
生命保険とは、万が一の時に契約者やご家族が金銭的な保障を受けられる仕組みです。
つまり、自分と家族の生活を守る備えです。
契約内容や保障内容は、加入する保険の種類によって異なります。
死亡に備える生命保険には、大きく分けると3つあります。
それぞれの保険の保証期間、保険金、保険料の違いについて解説します。
1)定期保険(掛け捨て型)
- 保障期間:一定の期間が決まっており、年満了(年数で設定)と歳満了(年齢で設定)があります。
この期間を過ぎたら、保障は終了になります。 - 保険金:契約期間中に死亡した場合に死亡保険金が支払われます。
満期が来た場合や途中で解約した場合は、保険金は原則的に支払われません。 - 保険料:一般的に安いです。
2)終身保険(貯蓄型)
- 保障期間:途中で解約や失効がない限り、契約者が亡くなるまで継続します。
- 保険金:満期保険金はありませんが、期間の経過と共に解約返戻金が増え、途中で解約した場合に支払われます。ただし、早期解約の場合、受け取れない場合があります。
- 保険料:一般的に定期保険よりも高く、基本的に加入時から一定です。
3)養老保険(貯蓄型)
- 保障期間:一定の期間が決まっており、年満了(年数で設定)と歳満了(年齢で設定)があります。
この期間を過ぎたら、保障は終了になります。 - 保険金:一定の期間内に死亡した場合、死亡保険金が支払われます。
また、満期まで生存していた場合、満期保険金が支払われます。 - 保険料:一般的に終身保険よりも高いです。
4)その他
- 保険会社が定める高度障害状態に該当した場合、高度障害保険金を受け取れるものもあります。
- 被保険者が亡くなった後、遺族が年金形式で保険金を受け取れる収入保障保険があります。
一方、ケガや病気に備える生命保険に、医療保険があります。
病気の治療のために入院や手術をした時に、入院給付金や手術給付金が支払われます。
がん保険のように、特定の病気の保障が受けられる保険もあります。
さらに、被保険者がケガや病気で働けなくなった時に支払われる就業不能保険もあります。
このように、生命保険には多くのプランがあります。
加入する時には、何を目的とした保障を受けたいかを整理して考えましょう。
公的支援で受けられる支援制度
利用できる公的支援は、高次脳機能障害の原因と年齢によって異なります。
それらについて詳しく解説します。
高次脳機能障害の原因による違い
1)脳外傷の場合
- 自賠責保険(後遺障害等級認定):交通事故が該当し、後遺障害の認定を受けると、保険金や介護料を受け取れる可能性があります。
- 労災保険:仕事中の事故が該当し、障害等級に応じた給付金が支払われます。
2)脳の病気の場合(脳出血・脳梗塞・脳腫瘍など)
- 障害者総合支援法による障害福祉サービス:障害者手帳を持っている場合、持っていなくても医師の診断がある場合(あるいは自治体の判断)に該当します。リハビリや介護サービスなどが利用できます。
年齢による違い
1)65歳未満の場合
- 障害者総合支援法による障害福祉サービス:上述と同様です。
2)65歳以上の場合
- 介護保険:介護認定を受けることで、訪問介護・看護・リハビリ、デイサービス、施設入所などのサービスを受けることができます。
障害者手帳を持っている場合に利用できるサービスと、介護保険で受けられるサービスについて詳しく解説します。
1)障害者手帳で受けられるサービス
高次脳機能障害(器質性精神障害)を持ってしまった場合は、精神障害者保険福祉手帳の交付の対象となります。
精神障害者保険福祉手帳とは、一定程度の精神障害の状態にあることを認定するものです。
症状の重症度と日常生活活動への制約の程度によって等級が定められています(1~3級)。
さらに、身体の障害を合併している場合は、身体障害者手帳の交付も対象となる場合があります。
全国一律に行われているサービスには下記のようなものがあります。
- 公共料金などの割引:NHK受信料の減免など。
- 税金の控除:所得税・住民税・相続税の控除、自動車税・自動車取得税の軽減(手帳1級の方)など。
- 生活福祉資金の貸付:各市区町村の社会福祉相談窓口で申請すると、無利子または低利子で資金を借りられます。
- 障害者職場適応訓練:実際の職場で働きながら仕事に慣れるための訓練を受けられます。
さらに、地域・事業者によって行われていることがあるサービスには下記のようなものがあります。
- 公共料金などの割引:JR(鉄道)・バス・タクシーなどの運賃割引、携帯電話料金の割引、上下水道料金の割引、公共施設の入場料などの割引など。
- 手当の支給など:福祉手当、通所交通費の助成、軽自動車税の減免など。
- その他:公営住宅の優先入居
上記のサービスは、障害者手帳の等級によって、受けられる範囲が異なる場合があります。
2)介護保険で受けられるサービス
要介護認定を受けると、デイサービスやショートステイなどの通所系サービス、訪問看護・リハビリなどの訪問系サービス、福祉用具のレンタル・購入や住宅改修の支援などが利用できます。
サービスを受ける際の自己負担は、所得に応じます(1~3割)。
要介護認定では、介護度が要支援1・2、要介護1~5の区分があります。
介護度に応じて支給限度額が異なり、限度額を超えた場合は、全額自己負担となります。
生命保険の加入条件
審査基準と必要な項目
生命保険に加入する際の審査(引受審査)は、保険会社が契約者の健康状態やリスクを評価し、加入を引き受けるかどうかを判断するものです。
審査基準は下記の要素が評価されます。
- 健康状態:既往歴(過去の病歴)、現在の健康状態(治療中の病気や服薬状況)、健康診断の結果(提出が必要な場合あり)についてです。
- 職業や仕事内容:危険度の高い職業(建設業、パイロットなど)は保険料が高くなるか、加入できない場合もあります。
- 生活習慣:喫煙の有無(喫煙者は保険料が高くなる場合あり)、飲酒習慣(過度の飲酒はリスクと判断される場合あり)などについてです。
- 家族の病歴:遺伝的な要因が関係する病気の家族歴(がん・心疾患など)についてです。
- 年齢:年齢が高いほど、審査が厳しくなり、保険料も高くなります。
加入時に必要な項目として、下記の情報を提出する必要があります。
- 本人情報(氏名・住所・生年月日・職業など)
- 健康状態に関する告知書
- 医師の診査:一定額以上の保険や特定の条件では、医師の診察が必要となる場合があります。
- 健康診断書(求められる場合)
保険金を受け取る条件
保険金を受け取る条件は、契約内容によって異なります。
具体的な支払い条件や対象となる障害の程度については、各保険会社で確認が必要です。
加入しやすい保険の種類
高次脳機能障害を持つ場合には、一般的な生命保険への加入は難しい場合があります。
加入できる可能性がある生命保険は、引受基準緩和型保険と無選択型保険の2種類です。
これらの保険の審査基準と必要な項目について、詳しく解説します。
1)引受基準緩和型保険の場合
この保険は一般的な生命保険に比べて、健康状態に関する告知項目が少ないのが特徴です。
一般的な告知項目には、下記のようなものがあります。
- 最近3カ月以内に、医師から入院・手術・検査をすすめられたことがありますか?
- 過去2年以内に、入院や手術をしましたか?
- 過去5年以内に、がん・上皮内がん、肝硬変、統合失調症、認知症、アルコール依存症で、医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかを受けたことがありますか?
これらの告知項目に1つも該当しない場合に、原則として加入できます。
保険料は、一般的な保険よりも割高です。
保険会社や商品ごとに具体的な告知内容や基準が異なる場合があるので、事前に確認しましょう。
2)無選択型(無告知型)保険の場合
この保険は、告知や医師の診査が不要なのが特徴です。
保険料は引受基準緩和型保険よりもさらに割高です。
保障内容には制限がある場合が多いため、保険料に見合った保障内容か、慎重に検討しましょう。
高次脳機能障害の原因
交通事故や病気の影響
大きく分けると、下記の5つの主な原因があります。
- 脳血管障害:脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などによる脳損傷が原因となる場合が多いです。
- 頭部外傷:交通事故・転倒・スポーツによる事故などが原因です。
- 低酸素脳症:心肺停止・溺水・一酸化炭素などにより脳が一時的に酸素不足になると、脳に広範囲な損傷が生じ、高次脳機能障害につながることがあります。
- 脳炎・脳症:ウィルス感染(日本脳炎・ヘルペス脳炎など)や自己免疫疾患が原因で高次脳機能障害が生じることがあります。
- 脳腫瘍:脳に腫瘍が生じると、その部位に応じて高次脳機能障害につながることがあります。
後遺症のリスクと関節障害
高次脳機能障害は、原因によりますが、脳の損傷によって発生するため、後遺症が長期間にわたる可能性が高いです。
さらに、損傷される脳部位によって、多くは運動機能の障害(運動麻痺)も伴います。
運動麻痺が生じた場合、長期間同じ肢位をとることなどから、2次的に関節障害(関節拘縮)を併発することもあります。
このように、手足の麻痺や関節障害の状況によりますが、身体障害者手帳の交付も該当する場合があります。
生命保険の請求手続き
保険金請求の流れと開始
保険金・給付金の請求手続きの流れは、「保険会社に連絡→必要書類の提出→審査→受け取り」という流れになります。
必要書類の不備があると、審査が遅れてしまうので注意しましょう。
必要書類と申請のポイント
必要書類は請求内容によって異なるため、請求内容に分けて説明します。
【入院や給付金の請求時】
給付金請求書(保険会社指定の書式)、医師の診断書または入院証明書(保険会社指定の書式)、診療明細書・領収書のコピー(病院から発行)、請求者の本人確認書類です。
【死亡保険金の請求時】
保険金請求書(保険会社指定の書式)、死亡診断書(医師が作成)、戸籍謄本または死亡届のコピー(続柄確認のため)、請求者(受取人)の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)、保険証券(必要な場合)です。
責任範囲とトラブル防止
契約者・被保険者・受取人・保険会社の責任範囲を明確にし、トラブルを未然に防ぐことが重要です。
特に、被保険者が判断能力を失った場合の代理請求の方法や、不正請求を防ぐための注意点をについて詳しく解説します。
生命保険の請求手続きにおける責任範囲には下記の4種類があります。
1)被保険者(高次脳機能障害を持つ本人)
- 原則として、自ら請求する責任があり、判断能力があれば可能です。
- 判断能力が不十分な場合は、家族や代理人が代行する必要があります(後述)。
2)保険契約者(通常は本人か家族)
- 契約時の内容を確認し、どの給付金が請求できるか確認する責任があります。
- 必要な書類(診断書、証明書など)をそろえ、正しく手続きを進める義務があります。
3)受取人(生命保険の給付を受ける人)
- 本人か家族(配偶者や子供)が受取人になっていることがあります。
- 受取人が本人以外の場合、代理で請求手続きを行うことが可能です。
4 )保険会社
- 契約内容の確認と給付金の支払いを適切に行う責任があります。
- 不正請求の防止のため、厳格な審査を実施する義務があります。
生命保険の請求をする際に、下記のトラブルが生じる可能性があります。
トラブルの例と防止策について解説します。
被保険者の判断能力が低下し、手続きが困難な場合
- トラブルの例:本人が手続きできず、家族が代理で請求しようとしたが、保険会社に認められない場合があります。
- 防止策:生命保険の契約時に代理請求人(配偶者・親族など)を設定できる場合があります。契約内容を確認し、代理請求が可能か調べましょう。また、被保険者の判断能力が大きく低下した場合、成年後見人制度を利用できます。家族が成年後見人となることで、正式な代理人として請求が可能となります。
受取人をめぐる家族間でもめる場合
- トラブルの例:受取人が変更されておらず、保険金を受取人が想定外の家族になっている場合があります。
さらに、相続争いに発展するケースもあります。 - 防止策:契約内容を定期的に確認し、受取人を適切な人に設定しておくことが必要です。また、遺言書をあらかじめ作成しておき、生命保険金の扱いを明確にしておくことも重要です。
公正証書遺言(公証人が作成する)がおすすめです。
不正請求とみなれる場合
- トラブルの例:診断書の記載ミスや不備により不正請求と判断される場合があります。また、代理人が勝手に請求をおこなった場合、不正受給の疑いをかけられることもあります。
- 防止策:診断書や証明書は、正確な情報を記載してもらいましょう。
担当医師には、高次脳機能障害の具体的な状態を明記してもらう必要があります。書類の控えや保険会社との連絡記録を残すことで、トラブルになった際に対応しやすくなります。
生命保険のメリットとリスク
長期的な保障の活用法
高次脳機能障害が長期化する場合は、生命保険の終身保障、長期給付が可能な生命保険を活用することができます。
これらについて、保障内容と活用ポイントについて詳しく解説します。
1)介護保障付き生命保険
- 保障内容:高次脳機能障害の影響で要介護状態になった場合、一時金や年金形式の給付(生涯にわたって給付が続くタイプがある)を受けることができます。また、介護が長期間続く場合、毎月の給付金で生活費や介護費用を補うことができます。
- 活用ポイント:要介護度(公的介護保険制度の認定)を受けると、請求しやすくなります。
2)終身保険(死亡保障)
- 保障内容:契約者が死亡した後に遺族に支払われます。介護や医療費でかさんだ場合の遺族の経済的負担を軽減できます。
- 活用ポイント:貯蓄型の終身保障を選べば、将来の資金としても利用が可能です。
また、「リビング・ニーズ特約」があれば、生存中でも重症時に給付金を受けることができます。
3)障害給付金・所得補償保険(就労困難時の保障)
- 保障内容:毎月の生活費を補う保険として活用できます。また、一定の障害等級に該当すれば、給付金が定期的に支払われます。
- 活用ポイント:障害年金と併用することで、長期的な生活費を確保できます。また、団体長期障害所得補償保険(GLTD)など、会社の福利厚生で加入している場合もあるので、確認してみましょう。
高度障害保険金の注意点
生命保険の高度障害保険金は、契約に定められた高度障害状態になった場合に支払われる給付金です。
受け取る際には、以下の6点について注意が必要です。
1)高度障害状態の定義
高度障害状態とは、生命保険各社の約款で定められた特定の障害状態を指します。
一般的には以下のような状態が該当します。
- 両眼の視力を全く永久に失った場合
- 言語または咀嚼の機能を全く永久に失った場合
- 中枢神経系や胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要する場合
- 両上肢の手関節以上または両下肢の足関節以上で失った、またはその機能を全く永久に失った場合
これらの詳細は各保険会社の約款に記載されています。
公的な認定基準とは異なるため、注意が必要です。
2)保険契約の消滅
高度障害保険金を受け取ると、通常は、その時点で保険契約は消滅します。
そのため、以降の特約や給付金は受け取れなくなります。
3)責任開始期以後の事由
高度障害保険金の支払い対象は、保険の責任開始期以後に発生した病気やケガが原因の場合です。
責任開始前に生じた高度障害は、対象外となることが一般的です。
4)回復の見込みがないこと
障害が回復する見込みがないという医師の診断が必要です。
一次的な障害や回復の可能性がある場合は、支払い対象とならないことがあります。
5)故意による障害は対象外
故意に高度障害状態を引き起こした場合、保険金は支払われません。
自傷行為や自殺未遂などが該当します。
6)税金について
所得税法上、個人が受け取る身体の傷害に起因して支払われる給付金は非課税です。
以上の点を踏まえ、生命保険の高度障害保険金を受け取る際には、契約内容や約款を十分に確認し、適切な手続きを行うことが必要です。
告知義務違反と契約解除
告知書の内容に事実と異なる内容があった場合、告知義務違反となり、保険金や給付金が支払われない場合や契約解除となる可能性もあります。
それまでに支払った保険料が返金されることもありません。
告知書は、加入の是非や保険料を保険会社側が判断するもとになります。
不明な点は保険会社の担当者に確認し、十分に注意して記載しましょう。
まとめとよくある質問
重要なポイントを解説
高次脳機能障害の原因や年齢によって、利用できる公的支援制度が異なるため、注意しましょう。
公的支援制度を十分に活用し、家族構成やライフステージを考慮した上で、足りない部分を生命保険で補うなど、トータル的に検討しましょう。
保険選びの疑問と回答
<参考>
- 国立障害者リハビリテーションセンター「高次脳機能障害診断基準」
- 国立障害者リハビリテーションセンター「高次脳機能障害を理解する」
- 公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険を知る・学ぶ」
- 公益財団法人 生命保険文化センター「ひと目でわかる生活設計情報」
- 厚生労働省「福祉・介護 障害者手帳」
- 知ることからはじめよう こころの情報サイト「治療や生活へのサポート 障害者手帳・障害年金」
- 日本年金機構「障害年金」
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