介護保険申請のコツ!知識ゼロからスタート

介護保険の申請を要支援、要介護の観点から考えている

介護保険を聞いたことはあっても、どこに相談すればよいのか、どのような手順で利用できるのかを知らない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、介護保険の基本や申請の流れ、スムーズに進めるためのポイントを解説します。

この記事の内容をまとめると

  • 介護保険とは?
  • 介護保険の申請の流れ
  • 認定調査への準備と注意点
  • 介護保険を利用する際に気を付ける事
目次

介護保険の基礎を知ろう

介護保険とは?初心者向け解説

介護保険とは、介護や支援が必要な方に、介護や介護予防でかかる費用の一部を給付する制度です。
2000年に施行された介護保険法は、介護が必要な高齢者とその家族を社会全体で支える仕組みです。

被保険者が支払う保険料を財源とし、介護が必要な方が一定の負担割合でサービスを利用できます。
介護保険によって、介護状態になっても、能力に応じた自立した生活を送ることができ、その人らしさを維持できます。

要支援と要介護の違い

介護保険を利用する際には、要介護認定を受ける必要があります
要介護認定とは、どの程度の介護を必要としているかの度合いです。

要介護認定を受けて支援・介護が必要と判断された場合、要支援1、2、要介護1~5の7段階で分類されます。
各要支援と要介護度の基準やサービス内容の違いを説明していきます。

  • 要支援1
    自立に最も近く、ほぼ自力で日常生活を送ることができる状態。
    生活の限られた一部に見守りや支援が必要です。
    デイサービスや訪問介護の生活支援などを週2~3回程度利用することができます。
    例)部屋の掃除など身の回りの世話の一部で見守りや手助けを必要とする。
  • 要支援2
    要支援1に比べると自分でできることが減り、生活の一部で介護や介助を必要とする状態。
    要介護1と同じく、デイサービスや訪問介護の生活支援を週3~4回程度利用することができます。
    例)身だしなみなどの身の回りの世話で、見守りや手助けを必要とする。
  • 要介護1
    病気などにより心身状態が不安定、認知症などによって介護予防サービスの利用が難しいと判断される状態。
    デイサービスや訪問介護に加え、訪問看護、短期入所などのサービスを週6~7回程度利用できます。
    例)買い物、金銭管理、薬の服薬などの能力が低下している状態。
  • 要介護2
    要介護1よりも更に多くの場面で介助が必要な状態。
    要介護1と同じサービス内容ですが、1日1~2回のサービスを利用できます。
    例)排泄や入浴など基本的な日常生活においても、部分的に介護を必要とする。
  • 要介護3
    生活を通してほぼ全面的な介護が必要な状態。
    1日2回程度サービスを利用することができ、夜間の定期巡回訪問介護サービスも利用することができます。
    例)排泄、入浴、着替えなどの日常生活で全面的な介助が必要な状態。
  • 要介護4
    介護なしに日常生活を営むことが困難な状態。
    1日2~3回程度のサービス利用ができます。
    例)介護がなければ、食事や排泄などの日常生活が成り立たない状態。
  • 要介護5
    最も重い介護度であり、寝たきりであることが多く、介護なしには日常生活を送ることがほぼ不可能になります。
    1日3~4回程度のサービスを利用できます。
    例)意思疎通が困難な場合も多く、日常生活全般ですべての介護を必要とする。

被保険者や対象になる条件とは?

介護保険の被保険者には、第1号と第2号があります。

第1号被保険者は、市町村に住所を有する65歳以上の人が対象になります。
65歳以上であれば、どのような理由で介護が必要になったとしても要介護と認定されれば、介護保険を利用することができます。

第2号被保険者は、市町村に住所を持つ40歳~64歳の医療保険加入者です。
第1号被保険者と大きく違うのは、要介護・要支援となった原因が、パーキンソン病、骨折を伴う骨粗しょう症など16の特定疾病に当てはまらなければ、介護保険を利用することはできません。
例えば、第2号被保険者が交通事故によって介護が必要となった場合は、介護保険ではなく障害者総合支援法が適用されます。

介護申請に必要な条件と準備

要介護認定の基準と申請の全体像

要介護申請の手順は以下のとおりです。

STEP
市町村の窓口に行き、介護申請の手続きをします。

その際必要なものは、要介護申請書、介護保険の被保険者証(第1号被保険者)、医療保険の被保険者証(第2号被保険者)、身分証明書、マイナンバーが分かる物です。

STEP
認定調査

認定調査は、訪問調査と一次判定を経て、二次判定で決定します。

STEP
結果通知が届く

基本的に申請から30日以内に、結果通知と要介護度が記載された被保険者証が届きます。

要介護認定の基準は全国一律で定められており、『介護の手間』を分単位で算出した要介護認定基準時間が判断の一要素となります。
食事や排泄など、生活に関わる8つの行為に対して、どれだけ介護に時間を要するかを判断材料としています。

要支援から要介護になるための条件と手続き方法

要支援から要介護になる時には、食事や排泄など生活に関わる行為に対して介護が必要な状態になると要介護状態と判断される可能性が高いです。
その他、介護予防サービスでは不十分と判断した時も、要介護判定の材料となるため担当のケアマネジャーに相談してみましょう。

要支援から要介護への変更方法は2つあります。

1つ目は、介護認定の更新時期が近い場合には、更新の際に現在の状況を説明し、要支援であることと実際の心身の状態にずれがあることを調査員に伝えましょう。

2つ目は、有効期間の途中で心身の状態が代わり、認定の見直しが必要と判断された場合は、要介護認定の「区分変更の申請」をすることが可能です。新規申請と同様に、再度認定調査を受けることで要介護認定を受けられます。

40歳~64歳の被保険者が医療保険の加入状況を確認する方法

医療保険の加入状況を確認するには、給与明細の控除項目を見ると分かります。
その他に厚生年金保険・健康保険の加入状況をインターネットで確認することができます。
都道府県、事業主名を入力するだけで、保険適用の事業所を一覧で確認することが可能です。

申請書の正しい記入方法と必要書類リスト

申請に必要なものは、前述した通りです。
申請は本人が行くのが基本ですが、家族が申請することも可能です。また、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者による申請代行もできます。
すでに、担当ケアマネジャーがいる場合は、相談してみるのも良いでしょう。

申請書に必要事項を記入しますが、本人が入院中など、自宅以外で認定調査を受ける場合は、日程調整のため病院と連絡をとる場合があります。病院側の窓口となる人を把握しておきましょう。
また、主治医がいる場合には、主治医意見書の作成を事前に依頼しておくと、手続きがスムーズです。

介護保険申請の手順ガイド

福祉窓口での申請手続きと担当者に相談する際のコツ

要介護状態の目安を前述していますが、いざ家族が介護状態になったときには、日々の少しずつの変化である場合も多いため、介護が必要と判断していいのか迷う場面も出てきます。

そのような時には、市町村の福祉課や地域包括支援センターなどの窓口で相談してみましょう。
要介護者に対し手伝っていること、介助している内容をメモし、情報を整理して相談するとスムーズです。

認定調査の進め方と主治医意見書の準備ポイント

申請が終わると認定調査が始まります。
認定調査は、訪問調査→一時判定→二次判定の順に進めていきます。

申請者が特に関係するのは、訪問調査です。
市町村の認定調査員が自宅や入院先などを訪問して、心身状況などを本人や家族から聞く、実際にやっているところを見るものです。
訪問調査の内容は、現在のサービス利用状況や家族構成・住環境の聞き取り、身体機能や認知機能など74の項目を質問されます。

主治医意見書は、かかりつけ医がいる場合には、申請者が直接医師に依頼することができます。
事前に作成をしてほしい旨を伝えておくと、スムーズです。

依頼後、市町村の窓口で用紙をもらい、医師に書いてほしいことを伝えた上で渡します。
市町村の窓口でかかりつけ医の名前や住所などを伝え、市町村から医師に依頼してもらう方法もあります。
主治医意見書の作成には1ヶ月以上かかる場合もあるため、余裕を持って依頼しましょう。

介護認定審査会での審査プロセスとは?

介護認定審査会では、認定調査の二次判定が行われます。
一次判定結果、訪問調査時の特記事項、主治医意見書をもとに審査・判定が行われます。
ここでは、必要に応じて被保険者の家族や主治医の意見を聞くことができます。審査・判定の結果は、被保険者ではなく市町村に対して通知されます。

認定結果通知後に行う必要な手続き

基本的には、申請から30日ほどで結果通知書と要介護度が記載された被保険者証が市町村より郵送されます。
次に必要なのは、居宅介護支援事業所選びです。

居宅介護支援事業所とは、ケアプランを作成してくれるケアマネジャーがいるところです。
介護サービスを利用するには、ケアプラン作成が必須となるので、担当のケアマネジャーを決めましょう。

居宅介護支援事業所は、市町村の窓口、または地域包括支援センターで紹介してくれます。
いくつかの事業所に連絡してみて相性の良さそうなケアマネジャーを選びましょう。

ケアプランの作成手順からサービス利用開始の準備

ケアプラン作成手順は次の通りです。

STEP
面談

現状の把握や抱えている問題点、希望などケアマネジャーに伝えます。
ケアプラン作成の上で重要な工程なので、できるだけ明確に伝えられるよう、情報を整理しておきましょう。

STEP
サービス担当者会議

ケアマネジャーが作成したケアプランの原案をもとに、被保険者と家族、利用する介護サービス事業者の担当者、主治医などの関係者とケアプランに関しての協議を行います。そこで、ケアプランが希望や意向に沿っているかを確認します。

STEP
ケアプラン完成

サービス担当者会議で確認した意見や意向をもとに、ケアマネジャーがケアプランを修正し、完成となります。

ケアプランが完成すると介護サービスの利用が開始となります。
被保険者は、利用する各事業者、デイサービスであればデイサービスと契約を結ぶ必要があります。

要介護認定の更新手続きと有効期間の確認方法

要介護・要支援認定には有効期間があり、高齢者の心身の状態が変化しやすいため、適切なサービス提供のために定期的に見直されます。

更新認定の場合の有効期間は原則12か月です。ただし、市町村が認める場合は、3か月~24か月の間で市町村が定めることもできます。そのため、有効期間は必ずしも12か月とは限らないため注意が必要です。

新規申請の場合は、有効期間が原則6か月です。
新規の場合も、3か月~12か月の間で市町村が定めることもあります。
更新認定の申請は、有効期間の満了日の60日前から行えます。市町村からの更新申請の通知が届くので、手続きを忘れないようにしましょう。

介護保険申請で失敗しないための注意点

調査日程の調整で注意すべきことと成功のコツ

訪問調査の日程調整では、本人だけでなく家族や日常的に介助をしている人など本人を客観的に観ている人も同席できるようにしましょう。
状況によっては、調査に時間がかかることもあるため、時間に余裕が持てる日を申告するようにするのがおすすめです。
その他、退院などにより調査場所に変更がある、被保険者の体調が安定していないなどあれば、市町村窓口に相談しましょう。

認定結果に不満がある時の再申請方法

認定結果が実際の状態よりも軽すぎるなど、不満がある場合には介護保険審査会に対して不服申し立てをすることができます。
不服申し立てが妥当と判断された場合は、再調査が行われます。しかしこの方法は、結果がでるまでに数か月かかってしまうので、次で説明する方法がおすすめです。

認定区分変更の必要性と手続きの流れ

介護の必要性が増した場合やサービスを増やしたい場合、介護度が実態より低いと感じた場合は、区分変更申請が可能です。
区分変更をすることによって利用可能なサービスの幅が広がったり、金銭面、家族の身体的な負担を軽減したりする場合もあります。

必要書類をそろえて、市町村の窓口または郵送で申請を行います。その後は、認定調査、一次判定、二次判定と認定申請の時と同じ手順です。

介護保険を利用するメリット

介護保険サービスを利用する5つのメリット

  1. 介護費用の軽減
    公的介護保険を使って介護サービスを利用することで、自己負担割合を1~3割に抑えることができます。
    収入に応じた負担軽減制度や低所得者向けの補助制度もあり、収入に関わらず安心して介護を受けられる仕組みが作られています。
  2. 介護者の負担軽減
    家族が介護者である場合、精神的・肉体的な負担が非常に大きくなります。
    介護サービスを利用することで、家族が介護から解放される機会が作られるため、負担が軽減されます。
  3. 様々なサービスを提供できる
    介護保険では、訪問介護やデイサービス、施設介護など様々なサービスを利用できます。そのため、利用者個人の状態や希望にあったサービスを自由に選択することができます。
  4. 予防介護サービス
    要介護状態になる前の、要支援状態にアプローチする介護予防サービスを利用することができます。
    地域の交流イベントやレクリエーションなどを通じて、社会的孤立を防ぐ取り組みも行われています。
  5. 公平性を重視した仕組み
    40歳以上の国民が保険料を負担し、給付として介護サービスを受けられる仕組みが整えられています。
    所得に応じた保険料や自己負担割合が設定されているため、低所得者でも必要な支援を受けられるようになっています。

自宅で介護サービスを受けるための注意点

自宅で介護サービスを受ける時には、サービス内容に含まれるものと含まれないものを認識することが重要です。

例えば、訪問介護サービスを利用する場合、援助内容は、家事のサポートをする生活援助と入浴や排泄等を介助する身体介護に分けられます。条件によっては、利用できないことがあるので注意が必要です。

この場合、家事などの生活援助サービスは、同居している家族がいると基本的には受けられません。生活援助サービスは、利用者が出来なくなった家事をおこなうものと位置づけられているので、介護保険を利用することができません。

そのような場合は、家事代行サービスなどの民間のサービスを利用するのも有効です。ただし、介護保険は利用できない為、全額自己負担となります。
料金や利用頻度などを考慮しながら、上手に活用しましょう。

要介護認定が非該当だった場合の対処法と支援策

要介護認定が非該当とは、1人で生活が可能で、支援や介護が不要な状態と判断されたことになります。
この認定を受けた場合は、介護サービスの利用対象外です。しかし、市町村が実施している地域支援事業制度に基づくサービスは、受けることができます。

費用は、市町村により異なりますが、介護保険と同様に1~3割の実費を負担する自治体が多いです。
地域によって内容が違うため、地域包括支援センターに問い合わせてみましょう。

経済的な負担を軽減するための支援制度とその利用方法

介護サービスを利用すると、利用者の状態によっては負担が大きくなる期間もあります。
そのような時に活用できる負担軽減策が、高額介護サービス費制度です。
1ヶ月の自己負担額が一定額を超えた場合、超過した分が払い戻される制度です。

例えば、市町村民税非課税世帯の上限額は15,000円です。
月の自己負担額が、40,000円だった時、市町村に申請すれば25,000円の払い戻しを受けられます。

サービス利用料の負担割合と費用

介護保険のサービス利用時の自己負担割合は、原則1割です。しかし、前年の所得によっては2割や3割になることもあります。

負担割合は、毎年7月頃に交付される介護保険負担割合証で確認できます。負担割合が分かると、毎月の自己負担額を計算することができます。

例えば、要介護1のAさんは、自己負担割合が1割です。
毎月利用限度額ギリギリまで介護サービスを利用していた場合、Aさんの自己負担額は、167,650(利用限度額)×10%=16,765円です。

まとめ

高齢化の進行に伴い、介護保険の利用者は今後さらに増加すると見込まれています。
申請や認定調査を円滑に進め、迅速に介護保険を活用できるよう準備しましょう。

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